SDGs達成 主役は次世代

 SDGs(持続可能な開発目標)というワード、ひんぱんに見聞きする。ざっくり言うと「社会にいいことしよう!」って動き。もちろん、個人が身の回りでできることはたくさんあるけれど、影響力を考えると、企業には相応の頑張りを見せてもらわないといけない。「ネクストエージ」(大阪市西区)は企業のSDGs達成を押し進めている。代表取締役の吉村大作さん(41)は「世の中のサステナブル(持続可能)なものを選択肢として増やしていきたい」と次の世代を見据える。【まとめ・中川博史】

 東日本大震災が私にとって大きな転機でした。「社会の役に立ちたい」とずっと思っていたんですが、実りあることができず「今できなかったら一生できない」と覚悟を決めました。ブログを通じて被災者の願い事を募り、無我夢中で動き回ったところ、多くの人の支援を得て、美容室再開のための用具一式の調達や中学バスケットボール部の公式戦の復活、学習塾の卒業旅行など、100の願いをかなえることができたんです。その後、NPO法人を作り、貧困や環境、教育問題などに取り組みました。

 社会貢献活動には、積極的に協力してくれる人もいれば、関心のない人もたくさんいます。活動を続けていく中で「思いがどこまで通じているんだろう?」「一緒に行動してくれる人を増やすにはどうすればいいのか」と考えるようになり、NPOの意義や役割は十分理解しながらも、相手の善意を頼りとする活動に限界を感じ始めたんです。

 企業は経済的合理性で判断します。利益、つまりは数字です。SDGsは、企業にとってチャンスなんです。消費者も取り組みを評価します。だったら、明確なメリットを示して提案に乗ってもらおう。延々と説明しなくても早く飲み込んでくれるはずだ、と考えたんです。

 SDGsは社会活動と経済活動が両輪です。企業が積極的にならなければ目標を達成できません。私たちは、その橋渡しをしたい。会社形態にしたのには理由があって、もうけるスキルやアイデアを持っていても、NPOだと「非営利」として見られるので、提案を理解してもらいにくいという側面があるからです。

 社長には1年交代で大学生に就任してもらうことにしました。主役は次世代です。自分の思いやアイデアをぜひ実現してほしい。1年ではもったいない気もしますが、将来に生かすために、たくさんの人に経験を積んでもらいたいんです。変化のスピードが急速な時代だからこそ、準備する期間を早めに取っておく必要があります。

 SDGs達成のカギを握るのは数字です。機運は高まりを見せていますが、クリアすべき数字がまだまだ自分事になっていない。特に企業は、社内モチベーションを上げるためだけの数値設定をしていたのでは、役目を果たしたことになりません。従来の売り手と買い手だけの関係でなく、社会環境という要素が入ってくるわけですから、自分たちだけで課題を乗り越えるのはすごく難しいことです。

 昔からの生活スタイルや習慣を保てば、楽だし、便利です。意識してサステナブルな商品やサービスを購入しようと思っても、総じて価格が高いのが現状です。消費者にとって十分な選択肢がない。それなら、サステナブルのバリエーションを増やさないといけない。提供する側を促し、サポートしていきたいと思います。

 ◇ネクストエージ◇

 企業の商品やサービスをSDGs化していこうと2021年に設立。コンサルタント業務のほか、廃棄するクッキーを再利用したビールやスイーツといったオリジナル商品の開発・販売、イノベーションやテクノロジーによってSDGsに取り組む企業を大学生が取材し、ウェブ上で紹介する事業などにも力を入れる。

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  2. 2021.12.3毎日新聞にて弊社代表取締役がインタビューを受けました。
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